第36回共同連全国大会 in 愛知 開催趣旨

「節目となる 35 周年大会」

この大会は、共同連結成 35 周年を記念する節目となる重要な大会となります。共同連は、2007 年第24 回宮城大会以降、社会的事業所の創出のため社会的事業所促進法の制定を基本的方針として掲げてきましたが、もはや 2013 年以降の 6 年間全く何の前進も生まれていません。
世界の中では、1991 年イタリアに社会的協同組合法が制定されて以来、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカと多くの国々に障害者をはじめとする社会的に排除されている人々と共に働く社会的協同組合や社会的企業の法制度が整備されています。隣国韓国では、東アジアで最初に、2007 年に社会的企業育成法を制定し、続いて 2012 年に協同組合基本法が制定され、社会的協同組合が認められるようになりました。更に社会的経済基本法の制定がめざされており、着実にその発展の歩みが刻まれています。

「社会的協同組合の必要性」

共同連はイタリアの取組みにヒントを得て、障害のある人ない人の共働事業所から障害者だけでなく他の社会的に排除されている人々とも共に働く場をめざそうとして、それを「社会的事業所」と命名しました。韓国のように法制度化が進まない中、社会的事業所は理念上の存在でしかなく、具体的な拡がりは見えない状態です。
一方、先進国の中で唯一働く人々の協同組合が無かったわが国にようやく労働者協同組合法制定が現実化しており、イタリアがそうであったように、その先に社会的協同組合を展望できる可能性があります。そもそも障害のある人もない人も対等に一組合員として働き運営していく協同組合は、共同連の求める「共働」により沿った形態でもあります。

「全国的な『共働』に向けた連帯を」

2 年前の滋賀大会でも、今回と同様に日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会、ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン、ホームレス支援全国ネットワークの代表に集まっていただき、共同連と一緒に、社会的に排除されている人々のこれからの就労の充実をめざして連携していくことを確認しました。今大会では、再び各団体の代表が一同に会し、雇う・雇われる関係ではない「共に
働く」という関係の上に成り立つ労働の場の拡がりをどのようにつくっていくのか、一層の連帯の形成をめざしていきたいと考えています。そのキーワードは「社会的協同組合」。

「愛知では 10 年ぶりの大会」

10 年前の大会では、湯浅誠さんをゲストとしてホームレスの人々も参加しての公演イベントなどを行いました。今大会は、前日イベントとして全国の障害者がつくり・参加する演劇グループの演劇祭を皮切りに、この地域での様々な取組み課題を学ぶ研修会、そして、地元の共生・共働の取組みの先駆的実践例の見学会などを行います。更に、韓国・日本の医療を中心とする協同組合の対談を通じ、
愛知において協同組合による地域づくりの先駆的担い手である南医療生協の活動紹介など多様なこの地域の特色が明らかとなる大会でもあります。

「より地域での連帯を」

今から 3 年前、厚労省はこれからの福祉のあり方として、地域力を活用し、様々な垣根を越える地域共生社会の実現を掲げました。しかし、それはまだ何も進んでいません。そもそも期待される「地域力」なるものが存在するのでしょうか。むしろ地域は疲弊し、孤立化が進んでいるのではないでしょうか。愛知ではこの大会の後にワーカーズコープ東海事業本部主催の東海協同集会が開かれ、翌年初めにはワーカーズ・コレクティブの全国会議が名古屋で開かれます。この大会が全国的連帯を強めるとともに、それぞれの地域をより元気にしていく連帯への契機となればと願っています。